新型コロナウイルスの感染者、犠牲者数が増え続け、その勢いはとどまるを知らないアメリカ。
特に、黒人やヒスパニック系の人々の間に深刻な影響をもたらしているという事実が明らかになってきました。
社会的な関心は大きく、11月に大統領選挙を控えるトランプ大統領も強い懸念を表明。今後、具体的な対策などが求められる状況です。
この記事では、コロナで危機的な状況をむかえているアメリカで、実際におきている人種間の格差とその理由をレポートしていきたいと思います。
アメリカの人種別・コロナ死亡者数
アメリカでは4月8日、新型コロナウイルスの感染者が42万人、死者は1万4000人を超えました。
アメリカ国内でも最多の感染者がいるニューヨーク州では感染者が14万人、累計の死者6000人以上。特に同州の1日の死者数は前日より779人が増えて過去最多の増加数。
コロナの猛威はとどまる事を知らない状況です。
日本のコロナウイルス感染者と死亡者数
ちなみに日本では4月8日、新型コロナウイルスの感染者が4257人、累計の死者は81人です。同日、全国で503人の感染が確認され、1日に確認された感染者の数が初めて500人を超えました。
アメリカの人口は3億2千万人強なので、日本のざっと3倍近いわけです。3倍の人口のアメリカが日本よりどれほどコロナの感染者、死亡者数の割合が多いか、可視化するために表を作ってみました。
下の表を見てみてください。
日本 | アメリカ | |
人口 | 1億2600万 | 3億2700万 |
*コロナ感染者数
|
4257 | 42万 |
*コロナ死亡者数 | 81 | 1万4000 |
*人口は2018年の情報です。
*コロナ感染者数と死亡者数は4月8日の情報
こうして見てみると、日本とアメリカのコロナ被害の違いが良くわかると思います。
人口が約3倍のアメリカが、感染者数で日本の約100倍、死亡者数で172倍です。
アメリカと状況を比較して、日本は決して安心して良いわけではありません。
が、いかにアメリカの現状がヤバイかということはお分かりいただけたと思います。
アメリカの人種別のコロナ死亡者数
コロナ関連の死者に黒人が多いのは、比較的黒人の人口の多い都市、ルイジアナ州ニューオーリンズ、ミシガン州デトロイト、ニューヨーク州などで顕著です。
主要な事例
ルイジアナ州 : 黒人の人口が30% →コロナ関連死者は70%が黒人
イリノイ州 : 黒人の人口は15% →コロナ関連の死者は42.9%が黒人
ミシガン州 : 黒人の人口は14% → コロナ関連の死者は40%が黒人
ニューヨーク市における人種別の死者の割合(4/6現在)
コロナによる死者の割合 | 人口の割合 | |
ヒスパニック | 34% | 29% |
黒人 | 28% | 22% |
白人 | 27% | 32% |
アジア系 | 7% | 14% |
人種ごとの死亡率(年齢調整あり)でみると、ヒスパニックは10万人に22人、黒人は10万人に20人、白人は10万人に10人、アジア系は10万人に約8人。ヒスパニックと黒人の死亡率は白人、アジア系の2倍以上となっています。
コロナの被害者に黒人・ヒスパニック系が多い理由
これだけ顕著に黒人・ヒスパニック系のコロナウイルスによる死亡率が高いのには訳があります。
根底にあるのは、アメリカにおける人種間の格差問題です。
以下、今回コロナ問題で顕著になったアメリカが抱える社会的な問題、人種間の格差をみていきたいと思います。
貧困・医療格差
アメリカには日本のような「*国民皆保険制度」がありません。
日本に住んでいる皆さんにとっては当たり前のこの*国民皆保険制度ですが、実はとても素晴らしい制度なんですよ。
アメリカの保険制度は複雑でとても高額。病気になっても日本のように、どこの病院にいっても良いわけではなく、自分が加入している保険によって行ける病院が決まってきます。
ここでアメリカの保険の話をすると長くなるので簡単に言うと、
アメリカではお金持ちだけが長生きできる!と言うことです。
国の補助などで保険に入っていても医療費がべらぼうに高額なので、医療費のため自己破産する人は後を絶ちません!
なので、今回のコロナのように生死に関わる病気にかかってしまっても、十分な蓄えや保険がない人は治療を受けるのをためらったり受けられなかったりするわけです。
基礎疾患を抱えている率が高い
報告によると、新型コロナウイルスの重篤患者になりやすいのは、高齢者や*基礎疾患のある人とされています。
これらの基礎疾患の大きな原因が、米国の国民病と言われる肥満です。
アフリカ系アメリカ人(黒人)は、肥満の率が高いと言われています。CDCによると、肥満の中でも最も健康リスクの高い「深刻な肥満」の割合は、黒人の場合、全黒人の人口の13.8%。白人の約1.5倍になります。
また、黒人の貧困率は白人の2.4倍に上ります。
貧困層は、日々の食事に十分な注意を払う経済的な余裕がありません。
そのため、安くてで高カロリーのいわゆるジャンクフードを子どもの頃から日常的に摂取しているのです。
こういった食事生活を続けることにより、肥満になるリスクが高まります。
このように、負の構図になっているわけです。
外出しなくてはならない環境
アメリカでは、黒人やヒスパニック系の人々は公共交通機関をはじめ、社会に不可欠な仕事に出ている人が多いと言う事実があります。
具体的には、清掃業や食料品店、バス・地下鉄の運転士、チャイルドケアスタッフなどです。
こういった職場で働く人々の75%は人種的マイノリティで、清掃人の60%以上はヒスパニック系、40%以上の公共交通機関のスタッフは黒人だということです。
住宅環境の問題
これら職業面での要因に加えて、彼らの住宅環境の問題も指摘されています。
ニューヨーク市当局の発表によると、コロナ感染者のホットスポットの多くは移民や、低所得層の人々が住む地域だそうです。
これらの地域で感染が拡大した理由
✅ 狭い住宅に密集して暮らしている
✅ 感染した場合でも自主隔離のスペース確保が難しい
✅ 多くの人が上記の社会に不可欠な仕事のスタッフとして第一線で働いている
危機感の欠如
黒人やヒスパニック系の人々の危機感の欠如も指摘されています。
コロナがここまで蔓延する前、「俺たち黒人はコロナなんかに感染しない!」などと豪語してい人達が多くいたそうです。
どこからきた自信なのかは良くわかりませんが、そういった過信によって十分な予防対策をして来なかった黒人の人達も多かったというのも事実なようです。(*もちろん、黒人全員がそうだった訳ではありません。)
また、このような状況になっても今だにマスクなどの対策をせずに、社会に不可欠な仕事の第一線で働いている黒人やヒスパニック系が見うけられる、という指摘もありました。
コロナ死亡者数に人種の格差⎟【まとめ】
以上、コロナ死亡者数に人種の格差⎟黒人・ヒスパニック系が多い理由でした。
ここで、記事のおさらいを簡単にしてみたいと思います。
現在、アメリカにおいてはコロナ勢いが止まらず、特に、黒人やヒスパニック系の人々の間に深刻な影響をもたらしている状況。
ルイジアナ州 : 黒人の人口が30% →コロナ関連死者は70%が黒人
イリノイ州 : 黒人の人口は15% →コロナ関連の死者は42.9%が黒人
ミシガン州 : 黒人の人口は14% → コロナ関連の死者は40%が黒人
コロナで黒人・ヒスパニック系の被害が多い理由
✅ 貧困・医療格差
✅ 基礎疾患を抱えている率の高さ
✅ 外出しなくてはいけない環境
✅ 危機感の欠如
ヒスパニック系に関しては、不法移民が多いこともあって黒人のように正確な統計が取れないという問題もあります。
アメリカで社会問題となっているのは、黒人・ヒスパニック系の貧困率が高く、貧困問題と今回のコロナによる犠牲者の数が密接に結びついているからです。
コロナウイルスの被害が拡大するにつれ、改めてアメリカの根が深い社会問題=貧困と人種間格差が表面化したと実感しました。
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